埼玉川口市の工場地帯に出現した癒しの新スポット 地域と食の最先端を繋ぐベーカリーカフェ/1110 CAFE/BAKERY
3つの〇が揃う場所で特別な体験を
「1110 CAFE/BAKERY」(イチイチイチマルカフェ/ベーカリー)という印象的な名前に込められたコンセプトは、「自然」「生活」「身体」の3つの環境が「〇(まる)=美しくなる」ということ。
植物由来の素材で作ったメニュー(Plant Based Menu)と、職人が丁寧に窯で焼き上げた出来たてのパンを、季節が感じられる自然の中で味わうという「体験」によって、3つの〇が提供される。
オープンに先立って行われた試食会で、店長シェフの西川浩康さんは店の魅力について「ここにしかないロケーションで、身体にも環境にもいいものを食べる、その特別な体験を味わってほしい」と話した。
「ワンプレートで楽しめるように」と、西川シェフが特にこだわったのがBreakfastメニュー。日本語の「朝食」は単に「朝一番に摂る食事」だが、英語のBreakfastは「1日の中で夕食を食べてから長い断食期間を経て食べ物を口にする」という意味が含まれている。つまり、朝食には1日の始まりに相応しい栄養バランスの整った食事が求められるということ。そこに十分配慮したこだわりのワンプレートを、豊かな自然の中で朝一番の新鮮な空気とともに味わう。これこそ、ここでしか味わえない特別な体験だろう。
植物由来の食材のみ使用
フードメニューはオーガニックかつ植物由来の食材のみ使用。例えばBreakfastの定番メニュー「ベジベネディクト」は、卵を使用せずに野菜と自家製ソースで濃厚な味が楽しめる。「フレンチトースト」も、植物性ミルクから作った特製クリームに漬け込んでから焼き上げる。ホイップクリームやバターもすべて植物由来のものを使用している。
メニュー開発に携わったシェフのアンドレア・カッタネオさんは、両親ともにヴィーガン(卵・乳製品などの動物性のものを摂らず植物性食品のみを食べる人)という環境の中で育ち、自身もヴィーガンであることが自然だったという。学生時代から料理に関する様々な取り組みを行ってきて、辿り着いたのがここだった。今は日本でもようやく浸透しつつあるヴィーガンの思想や料理を、この場所から発信していくことに可能性を感じている。「ヴィーガンの料理の特徴は、環境にいい、身体にもいい、そして環境や動物の保護にもつながるということ。この3つの良さを伝えていきたい」。
<左上から時計回り> ※すべて税別 ・ベジベネディクト 1,300円 ・1110特製バーニャカウダ 1,500円 ・サンドウィッチ 1,200円 ・フレンチトースト 1,300円
オーガニックフードの発信基地として
同カフェベーカリーを運営する大泉工場(埼玉県川口市)は、1917年創業の堂々たる100年企業。その名の通り、かつては機械工場と鋳造工場を構える「工場」であったが、現在の大泉寛太郎社長が2014年頃よりオーガニックフードの最先端であるアメリカの流行を日本に持ち帰り、現在はコールドプレスジュースや発酵飲料「KOMBUCHA」(コンブチャ)の製造販売も手掛けている。
さらには、広い庭園を地域住民に開放したり、地域の生産者や加工品メーカーを集めたマルシェ「ファーマーズマーケット」を定期的に開催するなど、常に中心となって「地域」を巻き込んだ取り組みを実践してきた。
その考え方は「1110 CAFE/BAKERY」でも変わらない。西川シェフは使用する食材はオーガニックであるだけでなく、できる限り県内のものを使用したいと語る。現地点でも県内農家から仕入れた食材を積極的に使用しており、将来的には自社の畑で栽培している野菜も含めて「地産地消」の実現を目標に掲げている。
日本におけるオーガニックフード市場は年々拡大を続け、2,000億円に迫る規模と推定される(※)。早くからその動きに注目し、様々な取り組みを続けてきた大泉工場。この度「1110 CAFE/BAKERY」が加わり、オーガニックフードの「発信基地」として、その存在感を増しつつある。
※2017年度の市場は約1,800億円(出典:農林水産省2020年2月発表)
【店舗情報】 1110 CAFE / BAKERY ●住所: 埼玉県川口市領家5-4-1(株式会社大泉工場内) ●アクセス: JR 赤羽駅東口 赤 23 国際興業バス乗車 12分 JR 川口駅東口 川 21 国際興業バス乗車 13分 「梛木の橋」バス停留所下車徒歩 3分 ●営業時間:8:00~16:00 ●席数:30席(店内15席、テラス席15席)