2020.07.17
ギネス認定の巨大大根「桜島大根」に世界が注目 加工品続々登場 動脈硬化の予防にも期待
美味しくて身体にいいスムージー
桜島にある「道の駅・桜島」のレストランで、6月6日から販売が始まった「桜島まるごとスムージー」。原料として桜島大根だけでなく、同じく桜島名産の「桜島小ミカン」も使われており、まさに桜島を“まるごと“味わえるドリンクだ。
開発したのはレストランを運営する「さくらじま旬彩館」。2019年に開発したフリーズドライ商品「桜島大根パウダー」に、桜島小みかん100%ジュースをブレンドした。「おいしくて健康になれるスムージーを」を合言葉に試作を繰り返し、爽やかな自然の甘みが感じられる配合を決めた。大根とみかんという組み合わせの意外性と、絶妙なバランスを表現した味が評判を呼び、7月3日の新聞記事(南日本新聞)によると販売から3週間で300杯以上売れたという。
驚異の「モンスターラディッシュ」
桜島大根は海外では「モンスターラディッシュ」の異名をとる。2018年にアメリカの科学雑誌の表紙を飾り、紹介されると海外の研究者やメディアからの問い合わせが殺到したという。“モンスター”と呼ばれるのはその大きさだけではない。血管をしなやかにする機能性成分「トリゴネン」が大量に含まれているという研究が発表されたからである。その量は普通の青首大根の60倍。桜島大根を継続して食べることで血管のしなやかさが増し、動脈硬化予防の効果が期待できるという。
発見したのは鹿児島大学農学部講師の加治屋勝子さん。病気が発生するメカニズムや身体にいい食品について研究している中で、「鹿児島には血管系の病気が多い」ことを知り、研究分野として血管を選んだ。そして、血管機能を正常に保つために役立つ食材を300品近く調べた末に、辿り着いたのが桜島大根だった。
鹿児島市中央病院での臨床試験では、健康な男女14人に桜島大根170gを10日間続けて食べてもらったところ、試験前にはゼロだった血中トリゴネンが全員から検出され、血管のしなやかさを示すFMD値も改善したという(南日本新聞、2019年11月15日付)。
もっと身近な野菜に
医学的にその効能が裏付けられ、桜島大根の可能性は広がり続けている。現在は、地元企業と連携しながら様々な加工品が開発されている。スムージーやフリーズドライの他にも、乾燥大根を甘酢漬けにした漬物や、大根の葉の部分を使ったふりかけなどがすでに商品化されている。高齢化する農家の収穫の負担を減らすために(桜島大根は巨大なので引き抜くのはかなりの重労働)、「スプラウト」(新芽野菜)の開発も進められている。
一方、桜島のある鹿児島市では、桜島大根の積極的なPR活動を展開している。レシピの開発やPR用のパンフレットの作成、さらには首都圏へのプロモーション施策として、東京都内の飲食店でメニューフェアの開催(食の都かごしまフェア)など、飲食店と一般消費者の双方にその特徴と美味しさを知ってもらうための様々な試みを行っている。
大きさだけでなく、その機能性でも注目される桜島大根。南の島が誇る世界一の特産物を、鹿児島以外地域でも気軽に食べられる日も近づいてきている。
■食材情報 ※JA鹿児島みらいのサイトより転載
・桜島大根
桜島大根(通称:島でこん)は、世界一大きな大根としてギネス記録にも登録されている鹿児島が誇る特産品野菜です。
栽培方法は個々の農家によって多少異なりますが8月下旬から9月上旬に播種を行います。桜島大根は桜島の火山灰土質や温暖な気候ですくすくと育ち、大きさは15~20㎏の重さのものが多く、まれに30~40㎏を超える大根もあります。
形はかぶに似て、縮れた葉は濃い緑色で根はビタミンCやジアスターゼなどの消化酵素が豊富で水分が多く、おでんや豚骨と一緒に煮込むと短時間で味が染み込み、しかも煮崩れしないので丸ごと桜島大根の美味しさを味わう事ができます。
・桜島小みかん
桜島小みかん(通称:しまみかん)は、手のひらにすっぽり隠れるほど小さなみかんです。重さは40~50g足らずと小粒ですが桜島の大地で力強く育った桜島小みかんは香り高い風味が特徴で冬季限定しかも1ヶ月ほどしか味わうことが出来ないみかんです。桜島小みかんは2006年から08年に「かごしまの農林水産物認証」を取得し2008年5月には「かごしまブランド産地指定」を受けました。
■参考リンク
・桜島大根+小ミカン=「桜島まるごとスムージー」 鹿児島市の「道の駅・桜島」で好評販売中 (南日本新聞、2020/07/03)