全国の伝統的加工品のデータベース 農林水産省「にっぽん伝統食図鑑」が公開開始
全国各地に存在する伝統的な食品をまとめて紹介するウェブサイト「にっぽん伝統食図鑑」が、今年3月に公開されました。令和4年度は、奈良県、福井県、熊本県の3エリア、各20食品が紹介されています。まだ数は少ないですが、お土産品としても有名なものからマニアックなものまで、その歴史や製造方法などが詳しく紹介されており、和食文化を知る上で注目のウェブサイトです。
このウェブサイトは、近年の海外での和食人気の高まりを背景に、日本が誇る伝統食品の情報をまとめ、保護・継承、認知拡大、さらには輸出拡大を目指すべく、農林水産省が作成したもの。事業は数ヶ年計画の予定で、今後、残りの44都道府県の食品についても、段階的に紹介されていくということです。 「伝統食」と似た言葉に「郷土料理」がありますが、どう違うのでしょうか。ウェブサイトに「伝統食」の定義が掲載されているので、紹介しておきましょう。
「全国各地域で古くから存在している地域の食材を基に、気候・風土など地域の特性を活用し、保存性、食味などを工夫しながら長年製造されてきた食品」
また、品目の選定基準として、「加工食品であること」「(市場で流通していて)入手できること」「伝統的な製法又は保存技術を用いていること」とあります。つまり、その場で消費する料理ではなく、商品として店で購入できるもの、お土産として持ち帰れるものというのが、伝統食といえそうです。旅行した時に「その土地ならでは」のお土産を選ぶ際の参考にもなりそうですね。
同サイトでは、伝統食を17の分類に分け(例えば「穀類」「豆類」「漬物」「乾物」「くん製」など)、各分類の歴史、文化、特徴、代表的品目、製造方法など、細かく紹介されており、これを読むだけでも和食の奥深さの一端を知ることができます。
近年、幅広い世代に注目されている「発酵食品」についても一つのコーナーが設けられており、「にっぽんの発酵食品(Japanese fermented foods)」という資料が公開されています。「発酵大国」ともいわれることがある日本の発酵の歴史や、海外の発酵との違い、代表的発酵食品の紹介などが詳細に説明されており、この一冊を読むだけで発酵の基本は抑えられるのではないでしょうか。英訳版も掲載されており、海外の方に日本の発酵を説明する際に最適なツールになりそうです。
まだ立ち上がったばかりのサイトですが、今後公開されるエリアではどんな伝統食が選ばれるのか、想像しながら更新を待ちましょう。
農林水産省「にっぽん伝統食図鑑」