大分県の郷土料理(選定料理)手延べだんご汁

- 有力大名が愛した「鮑腸(ほうちょう)」の代替食 -

手延べだんご汁

 農林水産省選定「農山漁村の郷土料理百選」で選ばれた大分県の郷土料理。

 ごぼう、しいたけ、にんじん、里芋などを具材とした味噌ベースの汁に、小麦粉に水(場合によっては塩水)を加えみみたぶほどの硬さに練った生地をのばして入れて、煮込む料理。土地によってはのばさずにちぎって入れる場合もあります。

 由来には諸説ありますが、多くの説で戦国時代の大名、大友宗麟が好物の「アワビの腸(鮑腸)」に似せて作らせたものとして伝わっています。

 現在では家庭料理として日常的に作られています。


手延べだんご汁のレシピ

 分量:5人前
強力粉100g
薄力粉160g
130cc
5g
にんじん1/2本
大根1/3本
ごぼう1本
里芋5個
しいたけ4個
万能ねぎ3本
鶏もも肉300g
カボス1個
ひとつまみ
だし汁1,500cc
麦味噌250g
濃口しょうゆ適量
柚子胡椒少々
1.
薄力粉と強力粉をボウルでまぜ、塩水を少しずつ入れまぜる。小麦粉が固まりになったら、こね、まとめる。濡れ布巾をかぶせて、常温で15~20分寝かせる。
2.
にんじんとごぼうを笹がきにする。大根はいちょう切り。里芋はひと口大に切る。しいたけは厚切りに、万能ねぎは3cm幅に切る。鶏もも肉はひと口大に切る。
3.
鍋に水を張り、塩をひとつまみ入れる。里芋を入れ、鍋を火にかける。沸いたら、にんじん、大根、ごぼう、しいたけを入れる。
4.
ざるの上に鶏もも肉を置き、3の中身をざるの上に注ぎ入れて、鶏もも肉を湯通しする。別鍋のだし汁に具を入れ、八分通り火を通す。1で作った団子を親指大に小分けする。
5.
20~30cmにのばした団子を4に入れる。火が通ってきたら、味噌をお好みで溶き入れる(味噌汁より少し濃いめ)。お好みで濃口しょうゆを入れて香りをつける。ねぎを入れて、ひと煮立ちで出来上がり。盛り付け後、お召し上がりの際に、お好みで柚子胡椒とカボスの輪切りを添える。

※少し甘めの麦味噌の方が、柚子胡椒と好相性です。
調理のコツ
だんごの粉は強力粉と薄力粉の代わりに、中力粉(うどん粉)でも結構です。生地をこねた後、親指大に整え寝かせると、延ばしやすくなります。具や味付けは豚汁の要領で結構ですが、大分の麦味噌で仕上げ、柚子胡椒とカボスを入れると味が締まり奥行きが出ます。皆さんで団子を延ばしながら作られると盛り上がりますし、不格好も味のうち。母や祖母の手の温もりが伝わり、心も体も温まるふるさとの味です。
坐来 大分 総料理長 梅原