福井県の郷土料理(選定料理)越前おろしそば

- 江戸時代より続く伝統食 -

越前おろしそば

 農林水産省選定「農山漁村の郷土料理百選」で選ばれた福井県の郷土料理。

 大根おろしとだしをたっぷり使って食すそばです。

 江戸時代に、領主が非常食としてそばの栽培を命じ、そばに越前産の大根をおろしたものとだしをかける食べ方が推奨されたのが起源とされています。

 現在では、地域によって食べ方が異なり、そばに大根おろしを添えてだしをかけたり、大根おろしをまぜいれただしをそばにかけたりして食されています。県内にはおろしそばを食べられるお店が多く存在します。日本屈指の長寿県で食べられている健康食として、全国的に注目を集めています。


越前おろしそばのレシピ

 分量:4~5人前

(蕎麦)
そば粉400g
小麦粉100g
225ml

(蕎麦つゆ)
利尻昆布5g
厚削り鰹節85g
混合削り
(サバ・アジ・イワシ等)
85g
5L
A
薄口醤油100ml
濃い口醤油50ml
砂糖50g
みりん35ml

(トッピング)
大根1/2本
鰹節少々
長ネギ少々
1.
蕎麦粉と小麦粉をよく混ぜ合わせる。
そこへ水を加え、粉全体に水がよく行き渡るようによく混ぜる。
生地がひとまとまりになったら、空気が入らないように気を付けながら円錐に形作り、平たく伸ばしていく。
2.
1の生地に打ち粉をし、少しずつ生地を伸ばしていく。ある程度の厚さになったら、のし棒を使い、円形の生地に対角線状の角を出し、四角く伸ばす。
次に、厚さが均等になるよう巻きつけ棒も使い、生地を半回転させながら伸していく。
3.
生地を3つ折りにし、打ち粉をしっかりしたら、2回折り返す。
4.
リズムよく均等に切ったら、打ち粉をはたいて容器に移す。
5.
昆布を水に浸し一晩置く。次の日、鍋を中火にかけ沸騰したら昆布を取り出す。
6.
5に厚削り鰹節を加え中火で20分、その後、混合削りを加えて、弱火でさらに15分程煮る。
アクが出るので、よくすくい取る。
7.
火を止めて10分程蒸し、出汁が透きとおるよう落ち着かせたら、ペーパータオルで出汁をこす。
別の鍋に出汁を1L量り取り、Aを加えてひと煮立ちさせる。
8.
大根を皮つきのままおろし金でおろし、6のつゆと同割で合わせる。
※大根おろし360ml:蕎麦つゆ360ml
長ネギは小口切りにして水にさらす。
9.
鍋にたっぷりの湯を沸し、蕎麦を入れ90秒茹でる。
茹であがったら、水にさらして蕎麦をしめてよく水を切る。
10.
器に蕎麦をのせ、7の大根おろしダレを数回に分けて盛り付け、鰹節、小口ネギを添えて完成。
調理のコツ
(蕎麦について) 福井の蕎麦は、“平打ち”の麺が特徴。手順1で材料を混ぜたら水が全体にいきわたるよう、よくこねるのがポイントで、蕎麦にコシを出していきます。また、生地は均一に伸ばすことや打ち粉をしっかりし、生地同士がくっつかないようにします。 (蕎麦つゆについて) 手順6で加える鰹節は「厚削り→混合削り」の順に加え、2番目に加える「混合削り」は薄いので、火が強いとえぐみが出てしまうので、鰹節によって火加減を変えます。また、手順7では、鰹節をよく寝かせ、鰹節をきちんと沈めることで透き通った出汁ができますよ。今回のレシピでは記載していませんが、出汁をとったら純度の高い上澄みは、つけ蕎麦のつゆに、残りは再度加熱をする蕎麦のつゆ(薄口醤油でかけ蕎麦に、濃口醤油でおろしそば)にでき、ひとつの出汁を使い分けるのがツウの技! 人が感じる“旨み”のひとつとして、舌の上に残る甘みがあります。うまみ調味料ではなく、“砂糖”を少量足すことで味に厚みがでるので、『素材に拘る』という日本人が昔から大切にしてきた調味料づかいを是非心がけて下さい。
神楽坂 九頭竜蕎麦本店 茂木料理長