岡山県の郷土料理(選定料理)ばらずし

- 倹約令をかいくぐるためにうまれたアイデア料理 -

ばらずし

 農林水産省選定「農山漁村の郷土料理百選」で選ばれた岡山県の郷土料理。

 新鮮な海の幸と彩り豊かな旬の野菜を盛り合わせた郷土寿司です。「岡山ばらずし」や「まつりずし」とも呼ばれます。
 
 江戸時代、備前岡山藩の藩主池田光政が質素倹約を奨励し、「食膳は一汁一菜にせよ」との倹約令を布告しました。やむなく庶民たちは、たくさんの魚や野菜をまぜこんだ寿司飯を「一菜」とし、それに汁物を添えて、体裁を「一汁一菜」としたのが発祥です。

 倹約令をかいくぐるためにうまれたばらずしは現在、お祭りや祝いごと、接待などにおける料理として親しまれています。


ばらずしのレシピ

 分量:5人前
すし飯5合
たけのこ水煮小1本
焼ちくわ2本
わらび25g
にんじん1/2本
ごぼう1/2本
ふき25g
あなご小2尾
絹さや10枚
5個
しいたけ5枚
サワラ200g
(切り身2つ)
エビ5尾
イカ1杯
も貝250g
ままかり
(酢〆)
10枚
かすご
(酢〆)
5枚
高野豆腐2個
黄にら2束
れんこん
(酢漬け)
1/2本
たこ250g
(足1本)
紅しょうが適量
生姜適量
海苔適量
大根適量
番茶適量
[調味料]
※各分量は手順内を参照
砂糖
しょうゆ
薄口しょうゆ
昆布だし
重曹
1.
すし飯の材料、下記具材を準備する。

野菜煮を作る。
茹でた竹の子(水煮でも可)を縦1/4に割り、1mm程度の厚さに切る。
焼きちくわは縦半分に切り、半円状のものを1mm程度の厚さに切る。
わらびは重曹小さじ1を溶いた熱湯に1時間漬け(水煮でも可)1mm程度の厚さに切る。湯の量はわらびが浸る程度で良い。
にんじんは皮をむき縦半分に切り、1mm程度の厚さに切る。
ごぼうは泥をよく洗い流してから包丁の背で皮をそぎ、笹がきにする。
ふきは5分程塩ゆでし流水にしばらくさらし、冷めたらスジをとり、1mm程度の長さに切る。

これらの具材を砂糖100g、塩小さじ1、薄口しょうゆ大さじ2、昆布だし400ccを合せたもので弱火で15分程炊く。
炊き上がったらザルにあげ、水気を切っておく。

野菜煮とは別に、腹開きにした活あなごは強火でから焼きし、タレ(醤油1、砂糖大さじ2)に漬けてからとろ火で焼く。冷めたら5mm幅くらいに切る。
2.
飾る具の下ごしらえをする。

◇青みの絹さや
ヘタを折りながらスジをとり、塩茹でする。茹で過ぎると色が悪くなるので注意する。
◇黄色の錦糸卵
卵1個に対し砂糖大さじ1、塩小さじ1/2を加え溶きほぐしたものを軽く焼き、まとめて千切りにする。1個で薄焼き卵3枚が目安。
◇椎茸の含め煮
干し椎茸を400ccの水でひと晩かけて戻し、戻し汁200ccと同量の昆布だし、醤油15cc、砂糖25gで煮含める。
◇旬のサワラ
ひと口大にそぎ切りにしたサワラへひと塩して1時間ほど置き、水でよく洗ってから酢で再度洗う。酢200cc、砂糖大さじ1の割合で合わせた調味酢に漬ける。最低ひと晩は漬けたほうが酢になじんで美味しくなる。
◇赤みのエビ
中まで火が通る程度に塩ゆでする。茹でたら皮をむき、半分に切る。
◇歯ごたえのイカ
すみいかは胴の薄皮をむき、縦四つに切る。それぞれ鹿の子5mm幅くらいに包丁目を入れ2cm幅程度の短冊切りにし、軽く塩茹でする。
◇も貝
1度茹でこぼしたものを酒400cc、みりん50cc、砂糖大さじ4で炊く。その際生姜スライスを少々入れると良い。炊き過ぎると硬くなるので注意する。
◇ままかり(酢〆)
切り身の酢〆を用意する。生のものが手に入った場合は頭と内臓をとり、うろこを落としてひらいたものをひと塩し30分程おいたものを水で洗い、酢水で洗い、甘酢(酢200cc、砂糖大さじ1)に15分漬ける。
◇かすご(酢〆)
切り身の酢〆を用意する。生のものが手に入った場合はままかりと同様の下処理を行い、3枚におろしてからひと塩し30分程おいたものを水で洗い、酢水で洗い、甘酢(酢200cc、砂糖大さじ1)に15分漬ける。
塩し30分程おいてから水で洗い、酢水で洗い、甘酢(酢200cc、砂糖大さじ1)に15分漬ける。
◇高野豆腐
70~80度のお湯で20分間かけ戻し、水のなかでよく絞り2番だし400cc、砂糖大さじ3、塩小さじ1、酒大さじ1、薄口しょうゆ、小さじ1で弱火で煮含める。
◇黄にら
たっぷりのお湯を沸かし塩ひとつまみを入れ、さっと湯がき冷水にとってからよく絞り、2cm幅に切る。
◇れんこん
皮をむいたものを酢水に漬けあくを抜き、1mm幅程度の厚さに切る。ひとつまみの塩を入れたっぷりのお湯でさっと茹で、甘酢(水400cc、酢大さじ1)に20分程漬けこんだ後、輪切りにする。
◇たこ
塩ひとつまみで塩もみし、流水で洗いながらぬめりを取る。たっぷりのお湯で大根の切れ端と番茶少々とともに20分程茹でてから、3mm程度の厚さでひと口大に切る。
◇海苔
刻み海苔を適量用意する。
3.
すし飯を作り、盛り付ける。

ご飯はだし昆布を入れて通常よりかため炊く。水を10%ほど少なめにすると良い。
酢1/2カップ、砂糖100g、塩5gを弱火にかけながらまぜ、合わせ酢を作る。さわらの漬け汁を合わせ酢の代わりとしても良い。
炊きあがったご飯からだし昆布を取り出し、熱いうちに飯台にあけ、合わせ酢をふりかける。うちわで仰ぎながら、しゃもじで切るように手早く合わせる。
すし飯が温かいうちに刻んだ穴子を混ぜ込み、香りと旨みをすし飯へ移す。
1の野菜煮をすし飯に混ぜる。飯粒をつぶさないように両手を使って優しく混ぜ込む。

2で用意した具を飾り付ける。はじめに海苔を散らしてから錦糸卵を全面に敷き、イカ、エビ、サワラ、椎茸、絹さやを彩りよく賑やかに飾りつける。最後に紅しょうがを添えて完成。